少し語りたいと思います。
建築設計するとき大切なのは縦線ではなく、「水平の線」だと確信しています。
美しい建築は全て、「屋根」と「構造」の水平ラインがとてもシンプルで整然とされていることに気付きます。
世界三大建築家の一人「フランク・ロイド・ライト」の建築は、どれを見ても水平ラインが美しい。
先日の完成見学会でも、数組の方から「なぜ外から見ただけでも、こんなにすっきりとして綺麗なのですか?」と聞かれました。
まず「屋根をシンプルに、美しく魅せる」こと。
屋根は、京都「桂離宮」のモダニズム的要素を発展させたような、「なるべく薄くて軽やかな形にしたい」といつも思っています。
そのため、屋根の「ディテール」にもかなり神経を使いながら寸法を決めていきます。
「屋根勾配・軒の出・妻の出」を慎重に分析し、原寸で何度も何度も確認しながら、想いを寸法に託します。
あと重要になるのが、「地面or1階床~下屋根の軒先までの高さ」です。
桂離宮の「月見台」にも見られるディテールです。
軒下に立ったとき、家の中に居るとき「無意識のうちにどれだけ軒を感じることができるか」
神社・仏閣のお庭を中から眺めたとき、人はなぜあれだけ居心地が良いと思うのでしょうか?
それは、無意識のうちに軒を感じながら、向こうにあるお庭の木々を眺めているからではないでしょうか。
京都「高桐院」の濡れ縁に立った時まさにそれを感じることができました。
ただ山だけを見るのも良いけれど、建物の軒越しに木々を眺めるからこそ、「四季を感じ、気持ちが良い」と思えるのではないでしょうか。
「建築の美しさは屋根に宿る」
「建築美とは水平ラインを整えること」
次回は「引き算」について。
by 安藤洋介