私自身、住宅業界では、格好良く言えば「異端児」だと思う。
知り合いの経営者さん達にはよく「それでは金儲けしなくてはならない経営者としては駄目ね」みたいな事をよく言われます。
「何処でこんな事になったのかな?」と思っていた時に、合点がいった瞬間がありました。
それは遡ること、小学5年生。
兄の影響で聞き出した60~80年代の洋楽ロックン&ロールの魂がずっと続いているのだと気付いたのです。
小学生の頃、給食時間に放送委員の人が他生徒のリクエストに応えて、音楽を流していました。
低学年の要望でドラえもんなども流れていました。
そんな中、私はAerosmithの70年代の「Walk This Way」をお願いして、流してもらいました。
先生も生徒もドン引きで、全く関心を示さず上の空でした。
純粋に「みんなに本物を聴いてもらいたい!」と思ったのに。
当時は、歌謡曲のニューウエーブの時代で、ロックと言っても、XやBOOWYなどでした。
私は、どうしてもそれらに馴染むことができず、誰とも話しが合いませんでした。
でも、小学5年生の私は、「本物の音楽はこっちだ!」と強く思っていました。
「なぜ、解ってくれないんだ…。」と。
それはチャック・ベリーであり、ビートルズであり、ローリングストーンズであり、ツェッぺリンであり、モット・ザ・フープルであり、ジミ・ヘンであり、プリテンダーズであり、エアロスミスであり…。
大人になると日本のTVや映画でもこれらが挿入歌で使われ出し、みなさん聞き出していましたが、その頃には私はクラシックやジャズを聴き始めて現場で好んで聴いていました。
今でも、現場で聴いています。
いつも、感性はマイノリティーでした。
大衆に馴染めない、流行物に魅力を感じない独特の寂しさがありました。
今でもそうです。
安藤工務店の建築もそう。
「安藤工務店の建築は本物」と確信しています。
同時に、もしかしたらマイノリティーなのかもしれない、とも思っています。
ですから、「安藤さんの建築が好き」と言ってくれる方と会うと、「同志に会えた」という感覚です。
その分、そのクライアントのために全てを出し尽くして挑めます。
今でも私には、古き良きオールド・ロックンロール魂が根底で流れています。
住宅業界の悪しき習慣やしきたりに平気で反抗します。
「良いものは良い」「クライアント側に立つ」「センスは全国区にあり」等々…。
怖いとは全然思わない。
マイノリティーな感性はいつも寂しいけれど、
それにも増して「本物を追究していきたい」という気持ちが勝ってしまう。
群れるのもあまり好きではないですしね…。
近頃、そんな私にどこかしら似たような業者さんばかりになって来たように思う。
でも、そういう人は、決まっていい仕事をする。
涙が出るような執念の仕事をしてくれたりする。
西岡常一棟梁は、マイクスタンドを回しながらシャウトするミックジャガー以上のロックンローラーだ。
by安藤洋介