(Y様邸)ヒノキの化粧柱の墨付けと加工。

 

ウッドデッキ部分(土庇)の床を後々きれいに早く、そして構造的に強く納めるために、事前にこうして墨付けと加工をします。

 

 

 

木造住宅の化粧柱は一般的に「芯持ち材」なので、上記の写真のように、柱の芯まで「切れ目=背割り」を入れて空洞を作ってやる必要があります。

 

この背割りを作る意味としては、木材の伸縮をこの背割りの空洞部分でさせて、

「柱全体にひび割れが入るのを防ぐ」ためのものなんです。

 

ただ、見た目としては、せっかくの化粧柱(見えるきれいな柱)なので、この背割りは埋めたいですよね。

そこでまず、下記のように埋木を作ります。

 

 

そしてその埋木の片側にだけボンドをつけて嵌め込み、叩き込んで納めていきます。

 

ここでの工程で、大工さんが間違った認識でよく仕事をされているのをお見かけします。

 

それは、柱と埋木を一体化させようとするあまり、埋木の両側にボンドをつけて、更にクランプ(万力)でガチガチに固めようとしているんですね。

 

でもそれは間違っていて、

埋木を入れる時に気をつけなければいけないのは、

「背割りの空洞部分を埋めて見た目をきれいに見せながらも、今後、柱がひび割れていかないために背割りに余力を残してやり、木に呼吸をさせてやらないといけません。」

 

相手は「木」ですから、何でもかんでもガチガチにすれば良いというものではありません。

木の性質を見極め、後々、どう変化していくのかを理解した上で木造住宅は建てなければいけません。

 

 

そして、埋木を叩いて入れた後は、柱と一体化させるために、鉋を掛けてやります。

 

 

 

 

ここまで綺麗に納めてやれば、一流です。

 

 

 

そして最後は、あぶらとり紙で養生をして完了です。

 

 

 

現場でこうやって加工していると、近頃ではこういう手造りのお家は珍しいのでしょうね、沢山の方が見て行かれます。

安藤工務店が建てるところでは、工事中、本当に毎回反響が大きいんです。

 

現場に立つと本当に良いですね^^

私共でプラン&設計をして、お客様と打ち合せを重ねて二人三脚でここまでやってきました。

ここまでが、造り手も住まい手も大変なんです

だからこそ、こうして現場に立つと、

「ここまできたんだから、圧倒的なほんまもんを作ってやろう」と士気が上がるんですね。

 

 

 

少し余談ですが…

 

福島のアトリエの場所って、「景色が良いわけでもなく、大通り沿いの目立つところでもなく」とても商売には向いていない住宅街の狭苦しいところにあります。

当時は、同じ業界の経営者連中にも場所のことでは反対されました。

でも、色々な事情を踏まえてここに決めたんですね。

土地を決めるときの皆様と同じなんですね。

だからと言って「良い物が建たない」、「商売が成り立たない」というのは、造り手のただの言い訳だと思うんですよね。

 

 

ハウスメーカーの経営者連中の反対にあったことによって余計に燃えて(笑)、

「だったら、ここに宇宙を作ってやろう」と思って、設計をし施工をしました。

 

そして、建築から造園工事にバトンタッチする際に、造園家の荻野さんに、その熱い想いをお伝えしました。

やはり全国区であそこまでブランドを確立した人ですから、造り手として通じるものがあるんでしょうね。

 

「安藤さん、ここの地価総額を上げたりましょうや!」

「このアトリエを建てたことによって、ここら辺りに引っ越したがる人が増え、この一帯の不動産価格も上げて、近所の人も喜び、様々な相乗効果を生み出すような、この建物に見合うようなお庭を作りますから!」と言ってくださいました。

 

お庭造りで初めてクライアント側に回ってみて、その荻野さんの「良いものを作ったろう!」という気構えがとても心強く嬉しかったのを覚えています。

 

 

 

 

 

 

やっぱり、どこまでいっても物造りは、「知恵と情熱」だと思うんです。

それ以上もそれ以下もないんです。

 

 

安藤工務店を選んでいただいた以上、Y様ご家族には一流のものをお届けしたい。

ただ、その一念だけです。

 

 

by  安藤洋介