建前時に、慌てながら屋根の上で刻むのも結構だが、
できる事なら平穏時に地上で仕事をした方が、
「より良い成果」が期待できるのは当たり前のことだろう。
ハウスメーカーのような組み立て式の屋根や構造体ならいざ知らず、
安藤工務店の設計する住宅は、化粧物が多い木造建築なので、
それは当たり前の事と言えばそれまでなのだが…。
飛騨高山の棟梁も仰っていたが、
「建前当日に現場調整を繰り返し、いさんで刻む大工は二流、
できるだけ前もって出来る事は終わらせて建前に臨むのが大工の本流」
との言葉通り、安藤工務店も「段取り八分」で全て刻んでおく。
(※「段取り八分」とは、仕事の八割を「入念な準備」に時間と労力をさけば、
良い成果が得られるということ。)
ただ、これだけやっても建前ではハプニングはある。
それでも、リスクを前もって取り払うためのこの工程は、
今後も省くつもりはない。
by 安藤洋介