クライアントのご要望として「平屋のような暮らしがしたい」・「(駐車場とは別の)お庭が欲しい」・「洗濯場から物干し場までの動線は短く」・「どこの部屋に居てもTVが観られるように」など多数のものがあった。
とは言え、「南」には3階建てに相当するほどの住宅が境界際まで迫り、「東」には将来住宅が建つとされ、「北」にはすぐ横を県道が走っていた。
深慮した末に、お庭を「北」に配置する事とし、採光を安定的に確保するために大開口を設けた。内と外を緩やかに繋げるために、あえて質感のある造作の「木製建具」と「嵌め殺し窓」を採用し、アルミサッシの気密性・断熱性に対抗しうるだけのディテールを追究した。
結果、驚くほどの(室内の)快適さを獲得することができた。
行き交う人と車の目線から住む人のプライバシーを守りながらも、且つ開放的で気持ちの良い空間とするために、「外塀」と「植栽」の設計・施工もまた高次元での仕上がりとなっている。
「限られた予算の中で最高のものを造り上げる」とはどういう事か…ここでまた一つ証明する事ができたと思う。

所在地:竣工:2017年
岡山県
構造規模:木造軸組通気工法 2階建
延べ床面積:92.68㎡
設計:安藤建築設計事務所
施工・監理:安藤工務店
外構・造園:安藤工務店