「妻の出」は1メートル出しています。
「軒の出」ともなると1.5メートルも出しています。
これだけ出していると屋根の水平ラインが美しく、外観を優雅に魅せることができます。
木造建築で1番難しい仕事は、昔から「軒の出」を出す技術だとされてきました。
例えば、中国大陸の寺院建築に比べ、日本の寺院建築の「軒の出」は圧倒的に深い。
それは、中国大陸に比べ日本は雨が多く湿気が高かったため、それらから家を守るため、軒を出す技術の向上を余儀なくされたからだ。
その軒を出す技術は、日本建築の技術の粋(すい)と言っても良い。
安藤工務店は創業より、この「軒の出の深さ」を実現させるために、「折置組」という”難易度の高い工法”を採用してきた。
「折置組」は技術的に難易度が高いため技術の伝承が難しく今ではほとんど見られず、代わりに岡山県で普及されたのは(木造建築の9割を占める)「京呂組」であった。
「折置組」の特徴として、
・水平振動にも強く、吹き抜けでもよく有りがちな水平筋交いが要らない。
・京呂組で見られる小屋組がないので、あえて天井を作る必要もなく、大きい空間を確保できる。
・そして何より、「折置組」の目玉である”登り梁”が室内から外部へと飛び出し、”出し桁”を支え、その出し桁が”化粧屋根垂木”を支える事によって、1.5メートルもの圧倒的な「深い軒の出」を実現させるのである。
”軒の出は深い方が良い。
建物を腐朽から守り、夏の暑い日射しを遮り、冬の温かい陽光を室内に導く働きをします。
そして何より、プロポーションが美しい。”
by 安藤洋介