実は、国家資格者である1級建築士や2級建築士が100人集まっても、
「建築士事務所(設計事務所)」は開設できないことはご存じだろうか?
「管理建築士」という特別な建築士がいなければ、
法的に、設計事務所として成立しないのだ。
近年では、この管理建築士にますます責任が一極集中しているため、数年前までのように簡単には管理建築士にはなれなくなった。
時代の流れもあり必然ではある。
まず、管理建築士になるためには、様々なハードルをクリアする必要があるのだが、
その内の1つである「講習会」で使われる、国土交通省の作った教本には厳しい言葉が並ぶ。
「違法な設計を行った建築士及び建築士事務所の開設者の責任は、
確認済証が交付されたという事実をもって回避されることはない」
「悪質な違法については、最高3年の懲役刑(第98条)や、違反者が法人である場合は最高1億円の罰金刑(第105条)など、
極めて重い刑罰が規定される」
国から、「設計をしても良いよ」と認められた国家資格者である建築士を、「更に監督する立場」であるため当然と言えば当然なのだが、
にしても責任の大きさを思い知らされる…。
私事でいうと、「日本建築の大工技術者」であり、「管理建築士」でもあり、
「設計事務所と工務店の開設者」でもあるので、
(単なる建築家や、棟梁や、経営者たちの狭い目線ではなく)俯瞰の目で判断できるのは良いことだと思っている。
それぞれの土俵で勉強すれば自然と見識は広くなるのは言うまでもない。
今まで通り、地に足をつけた建築を造り続けることが大事なのだ。
by 安藤洋介