「化粧板と押し縁の、真鍮釘手打ち留め工法」。
空気は通すが雨水は通さない「透湿防水シート」を貼り、
外壁内の空気を流動させながら下地にもなる「横通気胴縁」を打ち、
不燃材であり耐力板であり、そして耐水性も兼ねた「EXボード」を貼る。
サッシュ廻りには、「ピーラの木枠」を回す。
これで準備OKだ。
まず、「化粧の構造材」には、杉板が後々縮んでも、すいたように見せないために、
手鋸(てのこ)と鑿(のみ)で欠ぎ込みをする。
今の時代、ここまで手を入れる会社は珍しい。
なぜなら、今は「引渡しのときに問題なければそれで良い」という考えだからだ。
次に、定規棒を作り、
「真鍮釘」を打つ位置を丁寧に墨出しする。
そして、ホワイトボンド(水性)ではなく、
無垢材に最も効果がある特殊なボンドを塗っていく。
そして、その西粟倉産の無節の杉板を、
「手打ちの真鍮釘」で留めていく。
ざっと1万本の真鍮釘を手で1本1本打ち付けていくので、
終わる頃には手首が腱鞘炎を起こす。
数量もさることながら、相手が化粧材なので打ち損じが許されず、余計に力が入るのもその理由の一つだ。
しかし元来、木造大工の世界では、「上等な仕事」の時のくぎ打ちは、「手打ち工法」と相場が決まっている。
写真では伝わらないが、西粟倉の源平杉と、真鍮釘がとても美しい。
真鍮釘は、経年変化によって何とも言えない風合いになる、最も高級で魅力のある釘の一つだ。
この化粧板の後に、厚み15㎜の杉板=「押し縁」を真鍮釘で手打ちして、
陰影=「立体」を表現して完成する。
もうすでに購入してある木々や草花が、どれだけこの外観に合うだろうか…。
完成が待ち遠しくて仕方がない。
by 安藤洋介