一般的に使われている新建材の床材より、このような無垢の杉の床材は、
手間がざっと3倍はかかりますね
早くやっつけてしまうことは可能ですが、
無垢材に見合った”技術力”と”気遣い”が必要となりますので、そういうわけにはいきません。
木の性質を見極められる技術者でないと、
後々、住まわれたお客様に迷惑をかけることになります。
無垢の自然素材の家は、「温もり」があって、「香り」に包まれていて、「体に優しい」ものですが、
施工・監理には充分な注意が必要です。
無垢材は呼吸をしています。
冬の今時期は乾燥しているので、湿気(水分)を放出してくれて、縮んでいます。
暖房をかければ、更に、縮むことが予想されます。
そして、梅雨時期~夏にかけては、湿気でムンムンしている中で、
その湿気(水分)をいっぱい吸収してくれて、膨らんでいきます。
①W様邸の玄関~廊下にかけては、”見せる所”ですし、温度差(湿度差)は余り生じないと判断し、
1枚1枚空かさないように貼りました。
②リビング&キッチンは、冷暖房がかけられるので、激しい温度差(湿度差)を予想し、
1枚1枚1~3ミリ空かして貼りました。
他の大工さんはやっていないことですが、私は、引っ込んでいる側に釘を打ちます。
一般的には突出しているサネ側に釘を打ちます。
それは、大工さんが打ちやすいからです。
しかし、無垢材は冬になると1枚1枚の間が空くことが予想されます。
その時に、釘が見えないよう、ひっこんでいる側に釘を打っているわけです。
ごくたまに、先まで見通して、腕の良い大工さんは、引っ込んでいる側に釘を打っていますね
空いた時のことを考えて…。
この杉材は”節”があります。
個人的には”節有り材”は、かわいくて好きですね
ただ、”生き節”は良いのですが、”死に節”は足に当たると痛い…。
だから、1枚1枚、1つ1つの節を『手』で触って確認し、
気になる節は排除しながら貼っています。
W様邸でこの杉を使った床面積は50㎡ありますが、W様のお子様が、素足で走り回っても、
1か所も「痛い!」と思う所はないと思います。
言い切ることができますね。
廊下~LDKに入る出入り口の敷居と、
廊下~トイレに入る出入り口の敷居と、
廊下~物入れに入る出入り口の敷居は、
敷居の色が気に入らなかったので、急遽、この杉床材に直接、レールの”ひ”をついて、
なによりデザイン的に最高・最良だし、機能性もベスト。
今ある敷居を上からはめれば簡単なのですが、
床材を敷居兼用にする技術があるのですから、臨機応変にすれば良いと思います。