沖縄の建築と自然の旅①【名護市庁舎】沖縄における建築とは何か

石造りの古代遺跡のような佇まい。

 

前面の芝生の広場に対して内と外を連続させることで開かれた、コンクリートブロック+コンクリート造りの沖縄らしい建物です。

この広場が建物の北側に位置することに驚きましたが、建物を見れば沖縄の気候、風土を考えに入れた設計なのだと解ります。

 

深い軒がかかる「アサギ・テラス」という中間領域。

これがジグザグと連続して建物と広場の間に配置されていて、景色がくるくる変わるので歩くだけでも楽しい。

沖縄の強い日差しの中で、日影がどれほど助かるかという「体感」から生まれたもの。

 

屋根に埋め込まれた海の色のような色ガラスブロック。

 

コンクリートのルーバー屋根をブーゲンビリアが覆っていて、

太陽光を遮りながらも風が抜ける、気持ちのいい空間をつくり出している。

 

柱のコンクリートブロックや花ブロックの使い方も面白い。

これは沖縄で簡単に手に入る豊富な材料(砂)と、戦後急速に進んだ技術力があってのもの。

南面は一色線の外壁面をセットバックさせ、花ブロックと深い軒によって遮光されている。

柱に付いた台座にはシーサーが座っていたが、安全性の観点から撤去されたそうです。

 

3階のアサギ・テラス部分の土を入れた屋上庭園は、気化熱によってコンクリートの熱を放出させる工夫。

外部通路の端には小さなビオトープがあり、見た目にも涼し気です。

 

亜熱帯植物が建物を覆うように茂っていて、建築が風景に溶け込んでいる。

逆光で建物の様子が見えにくくて残念…。

 

設計を手掛けた象設計集団はル・コルビジェの弟子である吉坂隆正の弟子・教え子の集団。

公開コンペにより308案の中から選ばれた。

竣工は1981年(築44年)。

 

週末だったため室内は見ることができませんでしたが、とても見ごたえのある建築でした。

 

A.A