工事前夜に急遽、壁側に取り付ける(階段の)手摺りの仕様を変えた。
手摺りの高さだけを求めるなら、段鼻の天端から680~750㎜が望ましい。
しかし、壁としての役割=すなわち「守られ感」を得るために、降りる時の段板の850~900㎜の高さとした。
実は、階段の手摺りは、降りる時と登る時の感覚寸法はおよそ215㎜違う。
どちらを取るかと言えば、降りる時の寸法を採用する。
おのずと上がる時は高く感じるが、人は降りるときに怖さを感じる。
笠木と中間木と手摺りは、桧の無地材とした。
中間木は、「縦使い」とし、変化を持たせた。
接合部は、意匠性と強固さを同時に確保するために、桧の「丸栓」を打ち込んだ。
ちなみに、階段本体はオーク(楢の木)の無塗装材とした。
実は、段板については、言わないと一生見られることはないが、裏側で、最も人が体重をかける真ん中辺りに補強を一段一段入れているのだ。
私が今まで手掛けてきた階段は全てそうしている。
by 安藤洋介