まず、雨漏れの跡がある日本建築の天井を解体していきます。
天井裏の雨漏れ部分をチェックしながら天井を新設していきます。
伝統建築でよく見られる「貫の土壁」と「廻り縁」は、築50年以上の建物ということもあり、かなり構造的に朽ちています。
しかしながら、クライアントには分からないところで、「もう10年は保たせるぞ」という技術者としての矜持のもと、
補強を入れて確実な仕事で進めていきます。
既存の古材である廻り縁や磨き丸太を残して、天井をかたち造っていきます。
この廻り縁の見付け高さは1寸3分ありますが、これを5分にして天井の骨組みを作り、すっきりとした意匠性の高い「現代木造建築」の天井に生まれ変わらせます。
この丸太にも、補強を入れているので、例え屋根裏に上がって人が乗っても大丈夫です。
縁側も、廻り縁を残すために、慎重に解体していきます。
欄間の鴨居が、この先10年は下がらないように、補強を入れていきます。
ただ何も考えず、天井をやり替えるのではなく、
「見えない所に手を入れて、構造体にもう一度命を吹き込ませる」のが安藤工務店の流儀。
たとえ建て主が見ていなくても、見積りになくても、「するべき事」だと思っている。
by 安藤洋介