父は、面白い新聞記事や情報を見つけると、よく福島のアトリエに持ってきてくれる。
今日はと言うと、「27年前の岡山大学学長・小坂二度見」さんを書いた昨日と一昨日の山陽新聞の記事を渡された。
というのも祖母や父・母が、(前)岡山大学学長の森田潔さんと深い縁があり、
その森田さんが尊敬してやまない師匠が「小坂二度見」さんということを以前より知っていたからだ。
この小坂(元)岡山大学学長は、当時2時間ほどしか効かなかった麻酔を、
長時間の手術でも対応できる現在の麻酔の常識を作りあげた医療界の巨人なのだ。
この記事の一言一句に感銘を受けたが、その中から幾つか原文を紹介したい。
■”岡山一中から難関を突破し海軍兵学校へ。特攻に出撃する飛行班に志願したが、その前に敗戦。その後の人生で、
「倒れて後已むに気概」・「勇猛果敢な性格」・「自律」の江田島精神を貫いた。
「人間、感激を忘れたらおしまいですよ」”
■”「岡山大学は他学出身者を教授にしない」と言われていた。
「優秀な人材を選び、大学間競争に負けない、世界に通じる岡山大医学部にしたかった」という強い信念で同窓の身内意識、しがらみを乗り越え、旧弊を打破した”
(義父が以前言っていたが、神戸大学と岡山大学は深い繋がりがあるらしい。)
■”自分の次の世代の学長候補として育てられた麻酔・蘇生学の教授だった森田潔(前)学長は、
「小坂先生の意志を胸に私も学長をさせていただいたが、古い体質を打破する改革には大変なエネルギーと意思の強さが求められる。先生は言ったこと、約束は必ず実行した。すごかったのは、目的達成にはじっと耐え、戦略をたてる緻密さもあった。」”
■”61年、岡山大病院は麻酔の専門組織として中央手術・麻酔部を開設、小坂が麻酔部長になった。
術後の難しい患者を麻酔科医と看護師が24時間付き添う集中治療室「ICU」を、全国の大学病院で初めて創設した。”
私が最も勇気をいただいたのは下記の記事だ。
■”小坂は「麻酔科医の仕事は決して術中の患者管理のみならず、術後のICUにおける重症患者の管理など主導権をとって治療すべきである」という持論を展開。
積極的に守備範囲を広げ、麻酔科医の存在感を示した。この4年間、手術麻酔と術後の集中治療に追われ、昼も夜も大学病院で仕事漬けだった。”
小坂元学長は、若き日の臨床での「矛盾」が原動力と聞く。
私もまだまだ若輩ものではあるが少しでも見習っていきたいと思う。
by 安藤洋介