この場所は、20年前に自分が、2棟の本宅と蔵を古民家再生工事したり、
最も尊敬する大原總一郎の生誕の地であったり、
私にとって何かを感じる場所で、年に1度ほど訪れる。
訪れる度に、建築の事や、大原總一郎の事で新しい発見がある。
まずここに来ると決まって私は、
(大原總一郎が長野からわざわざ蕎麦打ち職人を連れてきて、お店を開業させて毎日のように食べていたという)
「あずみ」という蕎麦屋で、大盛りのざるそばを食べる。
蕎麦はもともと好きだが、大原總一郎が好んで食べていたと思うと、なんだか幸せになってしまう。
今日は、大原孫三郎(總一郎の父)が生まれ育った「大原本邸」と、
大原美術館の敷地内にある「睡蓮池」に行った。
この睡蓮はなんと、フランスのジベルニーにあるクロード・モネの自宅から持ってきた子孫達だという事には驚かされた。
なんだか嬉しくなってしまった。
大原本邸には一度入ったことがあるが、今日は初めて知ることばかりだった。
中庭まで入っていくと、まさにそこは「市中の山居」だった。
外からはこの景色は想像できない。
大原孫三郎は、喧噪の中にここにしかない宇宙を作っていた。
クラシックや絵画、本、野鳥、鷹をこよなく愛して生き抜いた大原總一郎を感じることができた素晴らしい時間だった。
安藤洋介