今展を知ったのは、1月5日放送の「日曜美術館」。
会期は延期となりましたが、事前予約をしてひと月程前に行くことができました。
原画やテキスタイルはもちろん素敵でしたが、
皆川明さんその人や言葉がとても魅力なのです。
穏やかさとパワフルなエネルギーが同居していて、
空想の世界を図案に落とし込み、語る言葉は論理的でリアル。
「種」の部屋に展示されていた「シェルハウス」は、
発案:皆川明さん 設計:中村好文さん 施工:羽根建築工房さん
三者の協働制作です。
皆川明さんは駆け出しの頃、魚市場の仕事と洋服づくりを掛け持ちされており、
ものづくりの基礎がどのように培われたのかこの本に書かれています。
「魚市場で、僕はマグロを担当していました。マグロは尻尾の肉で、肉質を見ます。僕にとってはそのことが衝撃でした。最後には百円ほどで売られるか捨てられるような部位で、その質を見定めるんです。これを洋服に置き換えて考えた時、自分はお客様の気づかないような部分のクオリティや、縫製などのものづくりの裏側を、どうしていくのがいいだろうかと思いました。その部分が雑であれば、どんなに素材が良くて、考えたシェイプがアイデアに満ちていたとしても、どこかで嘘をつくことになってしまう。手を抜くつもりがなかったとしても、そこに目がいかないというのはやっぱりよくないんだということに気づいたんです。」
『つづく で起こったこと』青幻舎 (2020)
A.A