庭園論。

 

千住博さんの影響を受けて、「日本の芸術論」安田章生(著)を読んでいる。

70年近く前の本になるが、本物であるならば、建築と同じで時間が経っても色褪せないことを教えてくれる本だ。

 

 

まず、ここにある「庭園論」について語りたい。

 

まず、作庭をするにあたっての基本姿勢はこうである。

 

「庭園という芸術が、自然の事物-石、土、水、植物を素材としながら、しかも、自然のままのそれらを超えているところに成立する芸術である」

 

 

この言葉と共に、大変興味深い一節がある。

そのままを抜粋する。

 

「ある人がいうのに、人間が立てた石というものは、自然の山水に優るということはありえない。

ただし、多くの国々を見たが、ある一箇所の景色としては、ああ趣があるなあと思われることがあるけれども、すぐその辺りに、よくない景色が数々あった。

人間が立てる石には、国々の趣のある所だけをあちらこちらから学んで立て、傍につまらない石を置くということはないのである。」

 

 

まず作庭工事の基本となり踏襲するべきは、「自然」である。

ただ、それに留まらずに、人間が象徴を造形していく先に「趣のある庭が生まれる」ということではないだろうか。

 

 

安藤洋介