構造体がそのまま造作になります。
後から一つずつ付けていく造作物とは違い、
これを完成させるためには、先を読む力と、高度な技術力が必要だ。
ディテール図作成→大工工事→板金工事→建具工事→ガラス工事でやっと完成する最強の開口。
気密性はアルミサッシュより劣る。
断熱性では勝る。
ただ、数値では表せないこの「質感・手触り」は別格だ。
最近問い合わせで余りに多い質問の「数値はどうなんだ?」というものがある。
勿論、ディテール(細かな納まり)を考える時は、「どれだけ数値を高められるか」を追究する。
それが、設計者の腕の見せ所であることは言うまでもない。
ただ、残念ながらアルミサッシュには何処までいっても勝てない部分があるんですよ。
でも、高貴な物って、1から10まで数値で表せるものではないだろうと思っている。
例えば、空海の言う「六大(ろくだい)」。
6つ目をさす「識大」とは、感性やセンスや想い、憧れなんですよ。
そう、人の「意識」なんですよ。
「本能」でこの木製建具を良いと思えなければ、する必要はないと思う。
私は、既製品の良さも充分知っているつもりだ。
しかし、全てがオートクチュールで作られた物の「凄み」も伝えていきたい。
営業はつくづく向いていないと痛感しているので、造り上げたもので魅せていきたい。
by 安藤洋介