Y様邸・完了検査にての一幕。

 

突然ですが、質問です。

 

下の写真で見られる、伝統的な軒裏で構成されたこの建物ですが、「準防火地域の仕様の建物」に見えますか??

 

 

例えば、予算に余裕があれば前例通り、外観(軒や外壁)に無垢の化粧木を貼る前に、不燃材(サイディングや工業製品)を貼ってから無垢の木を貼っていく「二重構造」にすれば、準防火仕様にはなりますよね。

 

ただ、予算が倍ほどかかります。

ただでさ、準防火仕様は、サッシや換気扇、外観などに法的な制限がかかり、それらの材の単価は通常の2.5倍は平気でかかってきます。

メーカ-によっては3倍かかるところもあります。

 

「だから皆さん、仕方なく準防火地域では、質感や意匠を諦めて工業製品を仕上げにしていくわけです。」

 

 

でも、この建物は、伝統建築と同じ工法で、仕上げの化粧木がそのまま構造材となっている「一重構造」で構成されています。

 

 

今日、美装を自分達でしながら、完了検査に立ち会っていると、案の定、検査員が指摘をしてきました。

 

「中も外も、一点を除いては問題ありません。ただその一点のことなのですが、外観の見た目と図面の仕様を照らし合わせて判断しても、これは準防火地域の建物として成立していないように見えますが、どういう事でしょうか?」と。

 

証拠となる屋根上から撮った写真や、小屋裏や外壁の中の写真を検査員に見てもらいながら、

「理屈で言うと、この材でこの寸法でこの納まりであれば、準防火地域仕様と同等か、もしくはそれ以上の効力を担保していますよね」と、

図を描きながら説明させてもらいました。

 

検査員は、

「ほー、なるほど! すごいですね、理解しました。これで完了検査合格ですので、明日には完了検査済証が挙がってくると思います」

と言われて帰って行かれました。

 

ちなみに、この検査員の方は、よく基準法を熟知されていて、いつもより慎重で細かい検査でした。

 

この安藤工務店独自の準防火地域の仕様は、

(申請は別途費用がかかるのでしていませんが)事実上、ハウスメーカーがよく宣伝文句にしている「長期優良や省エネ住宅仕様」にも、さりげなく成っています。

 

そのお陰もあり、通常、住宅というのは上階の方が当然暑くなるのですが、ここはもしかすると(瓦屋根ではなくガルバ屋根にもかかわらず)2階の方が涼しいかもしれません。

もちろん、そのカラクリは、他にも随所に隠してあります。

 

 

安藤工務店が目指す設計理念の一つである、

「古びた時に美しくなる自然素材をバランスよく使い、

質感を大事にし、

設備に頼りすぎない快適さを日々追究する」

を、現実のものとした建物がここに完成したように思います。

 

by 安藤洋介