京都 有次にて

 

日本建築を知る木造大工や宮大工なら分かる物だと思うが、少しマニアックな「名倉砥石」を買った。

 

 

なぜマニアックかと言えば「知られていないから」ということではない。

正直、柔らかい天然砥石を目利きして手に入れさえすれば、名倉砥石が無くても上手に研げるし、刃物はよく切れるから、

木造建築の世界では「荒砥石・中砥石・仕上げ砥石(合わせ砥石)」の3種類があれば、

充分「仕事」はできる。

それでも、あえて名倉砥石を「買う」という行為に走るということがマニアックなのだ。

 

側面と裏面には、私が天然砥石にしていると同じように、「漆」が塗ってあった。

 

見れば大体、天然砥石の良し悪しは分かる。

 

研ぎの技術では、私はそれなりの自負があるが、
最近、経営に忙しくてなかなか研げていない。
「刃物が切れなければ、最上の仕事はできない」という心構えは変わらないので、研ぎたいという気持ちはいつもある。

その発奮材になれば。

 

安藤洋介