実は、およそ20年前の私が、20歳の弟子の時分に、兄弟弟子の力をかりながら「墨付け・刻み」をして建てたものなんです。
20年ぶりに、仕事で近くにくることがあったので寄ってみました。

丸太の太鼓梁が、3本ほど有ったように記憶していますが、
当時、怒られながら夢中で墨付けて刻んだので、全くと言って良いほど、ここでは太鼓梁の技術を覚えていない。

こんなきれいな景色があったのかと、20年ぶりに訪れて、気が付いた次第であるから、とにかく夢中だった。
その後、独立して、最初の丸太仕事・・。
末口1.5尺はあろうかという丸太を皮からむいで、一人で墨付けて刻んだ時の「丸太の八面取り」の仕事が、私の財産となっている。
私のほとんどの特殊技術は、基本の上にある「独学」である。
どの仕口が強いか、どの細工、どの継手が美しいかを、独学で、現場の汚い残材を持って帰ってよく作ったものです。
「研ぎもの」と一緒で、ある期間、本当に没頭して極めていったように思う。
by 安藤洋介